小さな出来事の積み重ねを語るブログ

2010年8月24日火曜日

日本のモノづくりは修羅場を迎えている

今、日本の輸出産業があえいでいる。なぜならば日本の為替相場が15年ぶりに、一ドル85円以下になったからだ。円高が進むと輸出の利益が消える。それは大企業になるほど損失が大きくなる。トヨタなどは1円高ごとに数百億円の利益が吹っ飛ぶといわれているのだ。一社でこれだけの損失を出しているわけだから、日本全体では兆単位で利益が消えているのかもしれない。

日本という国は、現在の経済大国としての地位をどのようにして獲得しただろうか。優秀な人材や技術、国民性などあるかもしれないが、なんといっても輸出による稼ぎがある。日本の製品というものは安価で高品質なので、外国のメーカーは勝負にならなかった。おかげで日本製は海外で飛ぶように売れて、多くの外貨を獲得してきた。そしてその外貨を設備投資にまわして雇用を創出し、国内消費を促してきた。このような天のスパイラルで日本の経済は強大になったのだ。

しかしその輸出攻勢に最近、陰りが見え始めている。それは中国が台頭がある。ご存知のとおり中国は90年代の後半から、世界の工場としての地位を獲得してきた。その勢いは華々しく、世界の経済をリードする力を持ち始めた。そんな工場の誘致で成長してきた中国だが、最近中国ブランドの製品が増えてきた。中国ブランドと聞くと品質がよくないイメージを持たれるかもしれないが、そんなことは決してない。最近の中国の製品は品質がいいのだ。とある会社は世界中の製品を集め、分解してその技術を自社のものにするという。またさらに改良してよい商品を作っていく。このようにして中国のモノづくりの質を良くしてきているのだ

このような事情があるため、日本のモノづくりは優位性を失っている。しかし問題はそれだけでない。日本のモノづくりというものは無意味にこだわりを持つという欠点がある。例えば携帯電話を挙げてみると、日本の製品は性能で世界でトップを誇る。しかし世界で最も品質が良いといわれている携帯電話が、世界で全く売れていないという事実がある。なぜならば世界のニーズに適していないからだ。世界の人々は携帯電話の機能にそこまでこだわっていない。逆にもっともシンプルな設計をしてきたフィンランドの会社のノキアが、世界一のシェアを誇っている。何が言いたいかというと日本の技術者は、相手の求めていることを無視しているのだ。品質を良くしていけば勝手に売れると思い込んでいる。そんな発想ではこのグローバル社会では生きていけない。

以上の理由から日本のモノづくりは修羅場を迎えている。日本のメーカーは抜本的な改革をしていかなければならない時がきているようだ。みんなで危機を共有して、日本のモノづくりの衰退を止めてほしいと思う。

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